oitaumare’s diary

気になる裁判例を紹介

遺産確認の際の当事者

平成元年3月28日最高裁民事訴訟判例百選(4版)101)

 

1.あらすじ

  被相続人Aの遺産を妻Yと長男B、長女C,三女D,養女Eが相続した。Bが死亡し、Aの遺産を含めてBの妻X1及びBの子X2~X9が、Aの遺産も含めて相続した。

  本件土地がAの遺産であることの確認をX1~9がYに対して訴えた。

  C,D,Eは、当事者とされていなかった。

  (関係図)

  AーY

   |_____________

   |      |  |  |

   BーX1    C  D  E

    |

   X2~9

 

2.問題となる条文

  民事訴訟法40条1項

  「訴訟の目的が共同訴訟人の全員について合一にのみ確定すべき場合には、その一人の訴訟行為は、全員の利益においてその効力を生ずる。

 

3.判決の中身

  遺産分割前の共有関係にあることの確認の訴えで、原告勝訴の場合には、財産が遺産分割の対象である財産であることを確定し、その後は財産の帰属性について争うことを許さないとすることで、相続人の紛争の解決に資する。

 このため、遺産の確認の訴えは固有必要的共同訴訟である。

 C,D,Eが原告又は被告となっていないので請求棄却。

 

 

4.コメント

  ※固有必要的共同訴訟とは、関係者全員が原告又は被告となることで、はじめて裁判を開くことができる訴訟のこと

  本件でいうと、Y,C,D、E、X1~9の全員が原告又は被告となっていることが必要

  全員を当事者にしないといけないということは、全員の住所を調べないといけないということだ。住所を調査した結果、行方不明というケースもある。疎遠になっていると非常に大変だ。相続は本当に早く決着させた方がいい。