oitaumare’s diary

気になる裁判例を紹介

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

津地鎮祭事件

・最高裁昭和52年7月13日の事件 1.あらすじ 昭和40年、三重県津市の市体育館の起工式(工事の着工のとき、安全を祈願する)が、宮司4名の主宰の下「神式」に則って挙行された。 そして、その際、津市長が、報償費・供物料7663円を市の公金から支出した。 …

隣人騒音事件

・最高裁平成17年3月29日の事件 1.あらすじ Xは、以前から確執があった隣家のAらに向けて、いやがらせのためラジオの音声や目覚まし時計のアラーム音を流しはじめ、1年半の間、早朝から深夜・未明まで鳴らし続けた。 そして、隣人Aに精神的ストレスを与え…

少年事件の推知報道の事件

・最高裁平成15年3月14日の事件(憲法判例百選(第6版)71) 1.少年Xが、殺人、強盗殺人、死体遺棄等により起訴された。 その事件を、ある出版社が、仮名を用いて、法廷の様子、犯行態様の一部、経歴や交友関係等を雑誌に掲載した。 Xが、その記事は、①少…

法人格の否認の事件

・最高裁昭和44年2月27日の事件 1.あらすじ Aは、税金対策用の会社であるY社の代表取締役であった。 Aは、会社名義か本人名義かを明確にせずに、建物所有者Xと賃貸借契約を締結した。 Xが、Aに建物を明け渡す訴訟を提起した。そして、XとAの間で建物を明け…

有責配偶者の離婚請求事件

・最高裁昭和62年9月2日の事件 1.あらすじ 昭和12年に結婚した夫婦XYに子が生まれなかったので、昭和23年にAを養子にした。しかし、その後、昭和24年に夫XがAと継続して不貞関係にあったことが発覚し、XYは別居することになり、XとAが同棲をはじめ、XとA間…

わが子の略取事件

・最高裁平成17年12月6日の事件 1.あらすじ 東京で暮らしていた夫婦が、けんかをして、妻が青森の実家に子(当時2歳)と一緒に帰った。 その後、東京で別居中だった夫が、青森にこっそりと行き、保育園に送迎時に、すきをついて子を連れ去った。 2.問題…

未決拘禁者の喫煙の禁止事件

・最高裁昭和45年9月16日の事件(憲法判例百選(第6版)15) 1.あらすじ 公職選挙法で逮捕され、高知刑務所に移監されたXが、看守に喫煙を希望した。 しかし、Xは、釈放されるまで喫煙が許されなかった。 そこで、Xは、旧監獄法施行規則96条「在監者には酒…

5年退職金事件

・最高裁昭和58年9月9日の事件 1.あらすじ ある会社の給与規定に、就職後5年経過したら、退職金を払うという規定があった。 5年経過して退職金をもらった従業員は、再入社の手続きをとることなく、これまで通りの就労を継続していた。 これは、退職金の前…

土地上の建物の賃借人の取得時効

・最高裁昭和44年7月15日の事件 1.あらすじ A所有の建物を借りていたXは、Yから土地を明け渡すように訴えられた。 Xは、Aが建物を占有し続けて、Yの所有する土地を時効により取得した、XがそのAの時効を行使すると主張した。 2.問題となる条文 民法145条…

休憩時間の確保事件

東京地裁平成17年11月11日の事件 1.あらすじ あるガソリンスタンドでは、24時間営業で、主に3交代で働いていた。 ①午前7時から午後4時まで、休憩60分 ②午後3時から午後11時まで、休憩60分 ③午後10時から午前8時まで、休憩60分 原則一人体制…

無断資材置き場建築事件

・最高裁昭和42年11月2日の事件(刑法百選Ⅱ(第4版)33) 1.あらすじ Xの住んでいた家の隣には、塀が板で、その上にトタンをのせた他人所有の建物があった。Xが、所有者に話を聞くと、所有者は「少々物を置くのはかまわない」と言っていた。 しかし、その…

長時間の留め置き職質事件

・最高裁平成6年9月16日の事件(刑事訴訟法判例百選(第9版)2) 1.あらすじ 国道で、車両が蛇行運転していたので、警察官が呼び止めて、警察車両2台がその車両の前後に停止した。周囲が積雪で滑りやすい状況でもあった。 運転手Xが、目をきょろきょろさ…

訴状子ども受け取り事件

・最高裁平成4年9月10日判決の事件 1.あらすじ Xの妻が、Xに無断でXの名義を利用し、クレジット契約をして、ハンドバックなどを購入した。代金の支払いがなされなかったので、信用会社から「Xが」訴えられた。 その後、訴状の送達が実施されたが、Xが…

謝罪広告強制事件

最高裁昭和31年7月4日(憲法判例百選(第6版)36) ・あらすじ 衆議院総選挙の際に、Yが、「対立候補者Xは、副知事在職中に、発電機の購入で斡旋料800万円を受け取った」と公表した。 Xは、Yが虚偽の事実を公表したとして、謝罪広告の掲載を求めた。…

無断録音テープの裁判利用

・東京高裁昭和52年7月15日の事件 ・あらすじ Xと、Y会社のテレビ映画の作成放映に関する契約の成立の有無が問題となった。 Xは、Yが契約の成立を承諾したという証拠として、銀座の料亭にY会社の広告係長を呼び出して、誘導尋問したうえで、その係長に内緒で…

法人に対する侮辱事件

・最高裁昭和58年11月1日の事件 ・あらすじ A保険会社の顧問弁護士と交通事故の交渉をしていたXが、A保険会社のビル1階玄関の柱に「A保険会社は、悪徳弁護士と結託して被害者を弾圧している、両社は責任をとれ」と記載したビラ12枚を張り付けた。Xの目的は…

生活保護受給のための離婚事件

最高裁昭和57年3月26日の事件(民法判例百選Ⅲ11番) ・あらすじ Xは、夫が倒れたため生活保護を受給を開始した。 Xは、Xの収入が生活保護を受給するうえで、減額の対象となると市に命じられたため、夫と離婚した(離婚して夫が単身として生活保護を受けよう…

ベンチ置き忘れ事件

最高裁平成16年8月25日判決の事件 ・あらすじ 大阪府内の駅近くの公園のベンチで友人と話し込んでいたAが、ベンチにポシェットを置き忘れたまま、駅の改札口に友人を見送りに行った。 隣のベンチでその様子を見ていたXが、Aがベンチから27m程度離れたのを確…

サラリーマン・マイカー税金事件

・最高裁平成2年3月23日判決の事件(租税法百選(第5版)49) ・あらすじ サラリーマンが、通勤や外回り業務に使っていた自動車で自損事故を起こしたので、自動車を廃車にしようとした。その自動車は、通勤にも使っていたが、土日祭日にドライブをしていた…